【ブロックチェーン】ブロックチェーンのメリットとデメリット
ブロックチェーンはWEB2.0で生まれた問題に対する、一つの答えとして登場したネットワークです。
なのでその問題を解決する特徴によって、どのようなメリットが生まれるのかを見ることでブロックチェーンの活用方法を知ることができます。
しかし、メリットがあればその逆もあります。
3つの特徴のおさらい
ブロックチェーンには3つの特徴がありました。
・分散化
・耐改ざん性
・データの保存形式
これらの特徴については以前の記事でも書きましたが、ざっくりとまとめると。
・分散化により管理者不在のデータのやり取りが可能になる
・コンセンサス・アルゴリズムにより耐改ざん性を高めている
・正しいとされるトランザクションをブロックとして生成し、全てのノードで同じデータを保存する
となります。
どのようなメリットを生み出すのでしょうか?
主なメリット
ブロクチェーンの特徴がお互いに力を発揮することで、インターネットを利用するにあたり不安を感じていたことが解決されています。
また、この記事では触れませんが、このメリットを生かした新しい金融の形や組織の形、プライバシー問題への新しい対応方法など、様々なユースケースが生まれています。
データの正確性の向上
何かしらのデータを保存する場合、入力作業や、入力されたデータの検証作業など。どこかの段階で人が関わることになります。
自動化されていたとしても、管理者として望ましくないデータがある場合、対応することになります。
さらに、ネットワーク攻撃を受けた場合もその攻撃にも対処しなければなりません。
ブロックチェーンはそれらの問題を仕組みで解決することができます。
トランザクションが発行された場合、その内容が正しいものかネットワークに共有され検証されます。
その結果正しいとされれば、有効な内容としてブロックにまとめられ、ブロックチェーンに記録されます。
このようにデータを記録するまでの流れの中で、正確なデータだけを記録する仕組みとなっています。
それだけでなく、このブロックチェーンのデータを参加するノードがそれぞれ保管することで、どれが正しいデータかを判断できるようになっています。
基本的には一番長く記録されているものが正しいブロックチェーンであると判断され、各ノードはその正しいブロックチェーンのデータを保存していきます。
これにより一部のノードで不正なブロックが生成されたとしても、全体を占める正しいブロックチェーンの保存が優先され、不正なブロックを含むデータは破棄されます。
正確なデータかどうかは各ノードの計算能力により検証されているため、51%攻撃により大多数のノードに不正なブロックを含むブロックチェーンが正しいものと誤認されてしまう危険性が残りますが。
コンセンサス・アルゴリズムにより、不正をせずに通常の運用をしたことで得られる経済的インセンティブの方がメリットがあるため、起こりにくい仕組みであるとされています。
このように、分散ネットワークであるノード、各ノードがデータを保存する方法、コンセンサス・アルゴリズムによる耐改ざん性といったブロックチェーン全体の仕組みが、正確なデータをそのまま保存できるものとなっています。
コストの削減
正確なデータを保存できることで中央管理者が不要となり。
・検証作業に管理者が関わることでのエラーや管理者中心の運用による問題の排除
・それらの作業に割いていたコスト削減
が実現されます。
それだけでなく、ネットワークの参加者同士が直接取り引きを行う事になるので、使用する際に支払う手数料も少なくなります。
例えば、銀行振り込みを行う場合に発生する他行宛の割増手数料・・・というものがなくなるというイメージです。
金額面でのコストだけでなく、時間の意味でのコストも削減されます。
銀行の例を出したのでそのまま続けますが、銀行振り込みを行う場合。営業日や営業時間、システムメンテナンスといった銀行の予定によって振り込みなどの取引が実行されます。
そのため、依頼(または操作)したタイミングによっては、数日掛かる場合もあります。年末年始やGWなどのシステム停止などで、困った経験があるかもしれません。(自分はあります・・・)
ブロックチェーンは24時間、365日稼働し続ける可用性の高いシステムなので、必要な時に取引をすることができます。また、その取引もブロックが生成される10分程で承認されるのです。
このようなコスト削減効果が期待できます。
安全で透明性のある運用ができる
データの正確性にも関連する部分ですが、ハッシュ関数が様々なところで使用されているため、保存されるデータの整合性が高く、しかも取引の状況を参加者全員が確認する透明性も兼ね備えています。
透明性が高いとはいえ、公開鍵暗号技術を使用することで取引情報だけを公開し、個人情報は保護されます。
パブリックチェーンやコンソーシアムチェーンでブロックチェーンが開発されれば、システムの内容は参加者に公開されるので運用にも透明性が出ます。
多くの場合、参加者が集うコミュニティが形成され、ブロックチェーンをどのように運用するか議論され合意により運営方針が決定されます。
中央管理者がいる場合、管理者が方針を決めるため利用者はそれに従う形になりますが、その方針を自分達で決めることができるのです。
新しい価値の保存方法
ブロックチェーンはビットコインを始めとする通貨としての暗号資産と共に登場し、法定通貨やこれまでに認められた財産とは異なる価値のあるデジタル資産として成長してきました。
この恩恵により、預金、証券、不動産といった価値の保存方法に、暗号資産が加わり投資対象として利用されています。
しかも、誰でも利用できる形で。
これは日本に住んでいると単なる新しい投資対象で、資産運用を考えた場合のポートフォリオの1種に過ぎないかもしれません。
が、その価値は世界的に同等のものとなります。
例えば、約2,700米ドル=1BTC=約360万円というように。1BTCは法定通貨で価値が保障されているとも言えます。
それにより、自国の通貨が不安定な発展途上国や経済基盤の弱い国での価値の保存手段として利用されています。
実際、ビットコインが日常的に利用されているのも東南アジアやアフリカの国々が多いというデータもあります。
「日常的に仮想通貨を利用する国」ランキング2021 上位の国が変化 ー CoinPost
暗号資産にしてしまえば、管理するのは秘密鍵が保管されているウォレットだけで他のセキュリティ対策が不要になるというのも、理由の一つかもしれませんね。
デメリット
このようにブロックチェーンの特徴がメリットを形作っていましたが、そのメリットを支えるものがデメリットとなってしまっています。
また、新しい技術や価値をどのようにみなすか。自由度の高い価値の移動手段だからこその問題など。
解決しなければならない問題があるのも事実です。
運用コストがかかる
PoWをコンセンサス・アルゴリズムとする場合、コンピューターの計算速度が必要となります。
マイニング報酬を得るためには多くの計算能力を注ぎ、計算競争に勝てるように設計しなければなりません。
そのコンピューターは電気で動くため、多量の電力消費が問題とされています。
なので、多くのマイニング業者は電気代の安い国で会社を設立していますね。日本でマイニングをする場合、電気代が高いため割りに合わないとも言われています。
地球温暖化などの環境問題への対応が国際的な目標とされている中では大きな問題です。
しかし、太陽光発電や風力発電といった、再利用可能エネルギーを利用することで、その問題を解決使用としている動きもあります。
ビットコインマイニング、電力と環境にメリット【オピニオン】 ー coindeskJAPAN
スケーラビリティ問題
ブロックチェーンは参加者の合意により、ブロックが生成されデータが保存されます。
その新しいブロックの追加に約10分掛かるのとブロックに保存できる容量にも限界があるため、1秒あたりに処理できるトランザクションは7件ほどと言われています。
そのため、決済手段として一般的に利用されている大手クレジットカードが処理する件数に遠く及ばないため、ビジネス利用には向かないとされていました。
これらの処理速度に関する課題をスケーラビリティ問題と言います。
ブロックに保存できる容量を変更することや、保存するデータを軽くする方法(Segwit)や。
ブロックチェーン上で行わなければならない処理(オンチェーン)とそうでない処理(オフチェーン)を分けることで、動作を向上させたり(Lightning Networkなど)。
サイドチェーンを用意して処理を分担させたり(Plasma)。
様々な方法で、スケーラビリティ問題を解決するための研究がされています。
今では開発が進み、理論上は匹敵する処理速度を有するブロックチェーンも登場するようになりました。
誰でも参加できるからこそ
パブリックチェーンで開発されたブロックチェーンは、誰でも参加することができます。
そのため、マネーロンダリングに使用されてしまうケースが見つかっているようです。
ビットコインやイーサリアムといった開発が進んでいるブロックチェーンでの、そういった違法行為を目的とした利用は減っているようですが。
参加者の少ない開発中のブロックチェーンで使われてしまうことが多いそうです。
つまり、使用する暗号資産やその暗号資産が運用されているブロックチェーンもよく選ばないと、知らないうちにそのような行為に巻き込まれてしまう可能性もあります。
日本の暗号資産取引所で扱われている銘柄を利用する分には、そういった可能性は低いかと思います。
金融庁の規制の元に登録制が取られ、扱う銘柄についてのチェックも整備するように求められているからです。
しかし、海外の取引所も自己責任の元で利用できるので注意が必要です。
国による規制の違いがある
ブロックチェーンは多くの場合、通貨としてのトークンを発行し経済的な価値を発生させています。
そのトークンをトランザクションの発行手数料や、ブロック生成報酬などに使用し、経済的インセンティブを発生させています。
そのため、価値を持つデジタル通貨として取引されています。
つまり価値を持つ資産として規制の対象となるのです。
日本の規制については少し触れましたが、暗号資産自体が価値を持つデジタル通貨として登場したばかりということも有り、国に規制に大きな振れ幅があるのも事実です。
トークン自体も、ビットコインやイーサ、ステーブルコインといった通貨としての価値を持つものや、NFTやSTといった何かしらの権利を表す性格をもつものなど、様々な形を取るようになっています。
そのため、暗号資産の持つ性格に対応した規制が必要になっているため、国による差が出ているとも言えます。
正直、税制の兼ね合いで日本では利用しにくいのが実情という印象です。
開発者が一部となる
ブロックチェーンの開発に関しても、高度な技術が組み合わされているため、習得難易度の高いプログラムとなっています。
ブロックチェーンを支える技術として、暗号技術や分散システムについては以前の記事でも書きましたが。
開発するために仕組みまで理解するとなると、かなり難しいと思います。
・・・楕円曲線暗号で利用する離散対数問題とか、ド文系科目には無かったですよ・・・
そこからプログラムを実行させるためのスマートコントラクトやDAppsの開発のためのプログラミングの習得や、外部データを利用するオラクルなどなど。
開発したブロックチェーンに利便性を感じてもらったり、楽しんでもらうように開発を進めるのなかなか大変です。
しかも、日々技術は進歩してるので学び続けなければなりませんが、現実ではAIを利用したり開発の主流となっているプログラミング言語やシステムの開発の方が需要が高いため、そちらの勉強もしなければなりません。
なのでシステム寄りのプログラマーが多くなってしまうのかなーとは思いますが。
デジタル通貨としての利用を考えると、一般への普及が必要なので・・・目的を選ばず、ブロックチェーンの利用に関わる全般のUXを元にしたUI改善が鍵かなぁと。
個人的には思っています。
メリットを活かした利用とデメリットの改善は日々
開発がすすみ、ブロックチェーンという技術だけでなく、ブロックチェーンが開発された精神も広まった結果、Web3という言葉が生まれたのかなと。
それによりブロックチェーンを利用するメリットを活かしたユースケースが登場したり、研究されたり。
デメリットに対し多角的に取り組むことで、新たな技術や価値が生まれたり。
日々のニュースを見ているだけでも楽しくなります。
この記事で上げたメリットやデメリットも、存在しているブロックチェーンの全てに当てはまるわけではありません。
利用を考えてるサービスが利用しているブロックチェーンが、どのようなメリットがあり、どのように問題解決をしているのか。
それを知るだけでも暗号資産の見え方が変わってきます。
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